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結構衝撃的な告白を聞いた日の放課後。
私は陸上部の練習をぼんやりと眺めていた。 美羽は休憩中なのか、部員の男の子と一緒に木陰に座っている。 ・・・おそらく彼が、例の男の子なんだろう。 割と笑顔が多いし、明るそうだ。 顔にある痛々しい痣さえなければ、いたって普通だ。 「・・・なんとかしてほしいっていっても・・・ねぇ」 独り言を呟く。 彼にとって、本当に悪い事なら助けてあげて、なんて言われても、私と彼は、他人同士だ。 友和くんとみたいに長い付き合いがあるわけじゃないし、美羽とのように友達ってわけでもない。 彼と何の接点もない私がいきなり話しかけたって、心を開いてくれるわけがないし、下手すれば変な印象を与えてしまう。 まあ、そんなことを考えていたのは、最初のほんの数分だったけど。 私はスポーツをしている人の姿が好きだ。 憧れもする。 どんな競技でだって、練習を見ていればだんだん思考が止まってくる。 練習を見るというよりは、見とれる、かもしれない。 一度友和君に、どんな顔して練習見てるか聞いたことがあるけれど、その時の答えは、「何かに恋してる顔」らしい。 クラスメイトにも私の顔はそう映るみたいで、陸上部に好きな男でもいるのかとよく聞かれる。 そんなにスポーツが好きならなんで部活していないの?って話だけど、そこには少し深い理由がある。 一番の原因は、中2の時に交通事故にあって、大けがを負ったこと。 美羽と同じく私も昔は陸上部所属だったんだけど、交通事故で当時は左足が使い物にならなくなった。 今はリハビリのおかげで日常生活に支障はないけれど、全力で速く走る、なんてことはできなくなってしまった。 リハビリしても陸上続けるのは厳しいってお医者さんに言われた時は、ほんとにボロボロだった。 毎日毎日、病院のベットで泣いていた気もする。 けれど、そんな私に美羽は言ってくれた。 「すっと、亜希が横で一緒に走ってるのを思い浮かべながら、私は陸上を続ける。亜希の分も、ずっとすごい選手になる」 その日が涙のピークで、それからは笑うことの方が多くなった。 人間て言うのはどんなに落ち込んでいたって、単純なことで立ち直れたりしてしまう、面白い生き物だと思う。 私が単純すぎるだけかもしれないけれど。 で、2番目の原因は、簡単に言うと友和くんとの時間を増やすためだ。 2人とも部活をすれば、どうしても帰る時間が違ってくる。 友和くんは割とはやく部活を切り上げるタイプだから、余計だ。 だから、私は彼を待っている間に陸上の練習を見て、そんな私を、友和くんが拾っていく。 私が高1のときからの日課だ。 いつだって、友和くんがそばにいる。 こういうことも、私の笑顔に変わっていってると思っている。 私が立ち直れたのは、美羽と友和くんのおかげだ。 とりあえず、友和くんが迎えに来てくれるまでに、彼と知り合い程度にはなっておこう それとなしに美羽に近づいて、美羽に彼を紹介してもらう感じで。 美羽ならきっと、空気読んでくれるはず・・・ 内心ドキドキしながら、私は2人に近づくと、2人とも私に気付いたようだ。 お願い美羽、KYじゃないって信じてる・・・ そんなことを念じながらさらに近づく。 けれど意外なことに、先に口を開いたのは美羽の隣りに座っていた彼だった。 「ひょっとして、早野さんですか?」 私も、彼の隣りの美羽も、相当驚いていた。 「隼人君、なんで知ってるの?」 美羽が彼に尋ねる。 うん、私も知りたい。 「中1の時に、試合会場で一目惚れしたんです」 いきなりの爆弾発言を、彼はさらりと笑顔で放った。 「早野さんが怪我で引退したって聞いて、もう二度と会えないかなってあきらめてたんですけど・・・ラッキーでした。前よりも美人になった早野さんに会えて」 彼の言葉は機関銃のように私の心を叩き揺らしていった。 ただたんに慣れていないだけなんだけど。 けど、私が成長したのは、彼の言う外見だけじゃなかったらしい。 「ごめんね、私にはだーいすきな彼氏がいるから」 ここまで大々的に宣言するのは初めてかもしれない。 美羽が驚きっぱなしだ。彼にも私にも。 注目の彼は少し残念そうに、けれどすぐに明るい表情に戻って言った。 「あ、申し遅れました。高嶋隼人です。中距離メインに走ってるんで、アドバイスとかあったらお願いしたいです。俺が早野さんに惚れたのは、外見だけじゃないんで」 「だよねー、亜希の走ってるフォーム、すっごいキレーだったもんね!」 ここで美羽が会話に割り込んでくる。 っていうか、私はもう現役を退いてから2年過ぎてるんだけど。 「そういうことって美羽に聞いた方が・・・」 「私はハイジャンプ専門だもーん」 そうは言っても美羽、3000メートル走の中学校記録保持者でしょうが・・・ 「あ、そうだ」 美羽が思い出したように手を合わせる。 「亜希、帰りに砂糖買っておいてほしいんだけど・・・今日はこの後祐樹と会う予定だから・・・」 ひどく申し訳なさそうに、美羽は言った。 まあ、結構よくあることだ。 私だって、美羽には幸せでいてもらいたいから、いいよ、とだけ返しておく。 「ごめんね、お母さんがいきなりメールで、買って来い、なんて言うもんだから・・・」 「わかってるわかってる。林葉家にはいつもお世話になってますから。それに、いい運動になるしね」 「助かるー。じゃ、友和くんによろしくね」 美羽はそういうと、のんびりと立ち上がって、助走路の方へ歩いていった。 私と隼人君が取り残された状態だ。 そろそろ帰ろうかな、と思ったとき、隼人君が私に尋ねた。 「先輩と早野さん、家近いんですか?」 「うん、近いよ。同じマンションに住んでるんだ」 ほんとは、友和くんの家が美羽の家の隣なんだけど、そんなことは言えない。 言ったら私はこの高校にいられなくなるかもしれない。 「両親が今海外に行っちゃってるから、美羽の家族にはすごいお世話になってる」 「・・・そうですか。・・・いいですね」 そのあと何か言おうとしていたけれど、言葉にはしなかったみたいだ。 彼の悲しそうな表情は、私をドキリとさせる。 美羽の話は、本当なのかもしれない。 「ねえ、隼・・・」 「じゃあ、俺練習に戻るんで」 「えっ、ちょっと・・・」 「彼氏さんによろしくっすー」 止める間もなく、彼も美羽と同じように練習に戻ってしまった。 私はその場に立ちすくんで、深くため息をついた。 to be continued... ↓本日の日記 |
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「・・・希・・・亜希・・・」 囁くような声が耳に入ってきて、私は目覚めた。 「起きた?そろそろ朝ごはん食べないと遅刻するよ」 布団をバサッと上げて、私は起き上がる。 「・・・おはよう。友和くん・・・」 私は目をごしごしとこする。 気を抜けば、またバッタリと布団の中へ潜り込んでしまいそうなくらい眠い。 「おはよう。髪の毛ぐしゃぐしゃだよ」 友和くんはそう言うと、私の部屋を出て行った。 体が浮き上がるような幸せな会話をした気分だったけれど、私は近くに置いてあった鏡を見て眠気がどこかへ行ってしまった。 「ひゃあぁぁーっ!」 あまりのひどい寝癖に私は絶叫。 朝からバタバタと私は洗面所に向かった。 友和くんがくすくすと笑っている。 洗面所の鏡を見て、私はため息をつく。 「はぁ・・・こんなとこ見られるなんて・・・」 恥ずかしすぎる・・・ 外に出られる程度に寝癖を直して、私は真っ赤な顔で友和くんも座る食卓に腰をおろした。 「別に亜希の寝癖がひどいからって、嫌いになるわけじゃないよ?」 友和くん、優しいけど、今はそういう問題じゃなくて・・・ 「女の子としては好きな人の前じゃいつもきれいにしておきたいの」 「こういう亜希見てるのも楽しいんだけどね」 私には、ずっと笑顔を振りまいてくれる。 優しくて優しくて、けれどそれが、前は不安だったこともあった。 けれど今は・・・素直にうれしさを感じているからよしとしよう。 2人で一緒に部屋を出る。すると、隣からも扉を開ける音が聞こえた。 「あ、おはよう、亜希、友和くん」 私たちはそんな彼女におはよう、と返した。 林葉美羽。 私と同い年の友達。 今の私の家のお隣さん。 彼女は陸上界のホープで、すっごい美人だ。 そして、今のところ、私と友和くんの同居を知る数少ない1人だ。 「いやー、新学期早々から見せつけちゃってくれますねー。それでよくばれないよね」 新学期といってももう5月なんだけど・・・ 「今日は朝練ないの?」 「んー、ちょっと体調悪かったから」 そういえば昨日から調子悪いって言ってたっけ。 「と、いうことで一緒に学校行こうよ。・・・友和くんにも亜希にも相談したいことあるしね」 電車通学だった私たちは、プラットホームで電車を待つ時に美羽に尋ねた。 「話って?」 美羽は少し言いにくそうに話しだす。 「んー、新しく入った男の子のことなんだけど・・・」 「恋しちゃったとか?」 ギロッと美羽に睨まれる。 「私には、祐樹がいるので」 おしとやかに言われても目が怖いよ、美羽・・・ 「まあ、冗談はそれくらいにして、その男の子がどうしたの?」 「・・・高嶋隼人っていうんだけど、・・・最近、体に痣つくって部活でてくること多くなったの」 一瞬ドキリとした。 「それって・・・」 美羽は一度頷いて言った。 「DV・・・かも」 to be continued |
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「三者面談とかどうするの?」
私はふと気になって、隼人に尋ねた。 私の時は、もう志望大学も学部も決まっていて、先生に相談することなんてなかったものだから、三者面談はずっと欠席だった。 彼の場合はどうなるんだろう。 まだ進路も決まっていないみたいだし、塾だって通っていない。 「どうするって・・・姉貴でも来てくれるの?」 隼人は、私のことは姉貴って呼ぶし、友和くんのことは、兄貴って呼ぶ。 彼には彼の重い過去があったから、家族が欲しかったんだって言っていた。 「必要ならね」 「進路が全然決まってないから先生も相談に乗りにくいってさ。兄貴が自由気ままな生活だったから、あんな生活もいいなーみたいなこと思ったのも原因かも知れないけど」 つまり、必要ないと。 「大学行かないで外国放浪しようかなーなんて思ったことあるけど、そうすると姉貴は淋しいだろ?」 「別に気にしなくていいけど?私は友和君の愛があれば生きていけるの!」 「ひとりで生きていく事も考えた方がいいんじゃないのー?振られた時を考えて」 「もー!どうしてそんなこと言うのー!」 腹は立つけれど、普通の家族みたいに生活している、今。 私たちと隼人が出会ったのは、隼人が私たちの通っていた高校に入学した日だった。 そう、家族のいない、彼と出会った。 to be continued... |
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私は今、一緒に住んでいる年下の男の子がいる。 私は大学1年生で、彼は高校3年生。 その男の子とは、一緒に住み始めてから2年だ。 あ、ちなみに付き合ってるわけじゃないよ。 本当に、一緒に住んでいるだけ。 姉弟ってわけじゃないけれど、まあ、私にとっては弟みたいなものかな。 それに、私には大好きな大切な彼氏がいるわけで。 こちらは、1つ年上で、小さいころからの幼馴染。 今は日本にいなくて、ヨーロッパで画家としての勉強をしている。 2年は帰ってこないって言われて、それから1年が過ぎた。 来年の10月、彼は日本に帰ってくる・・・はずだ。 遠距離恋愛って言うのはほんとに大変で、どうしても不安になる時間が多くなる。 1週間に1度は手紙か電話をするようにはしているけれど、会えないっていうのはつらいわけで。 もし彼が、向こうで金髪美人の彼女ができちゃってて、私はもう要らない、とかいわれたらどうしよう、なんてくだらないことを考えちゃったり、私だって、日本でかっこいい男に付き合おうって言われてくらっとしちゃって、引き返せなくなっちゃったりしちゃうかもしれないわけで。 けどこれまでは、そんなこともなく、私はのんびりとキャンパスライフを送っている。 まあ、彼との事はのちのちお話しするとしましょう。 まずは、今一緒に住んでいる年下との男の子とのお話をしましょう。 どうして一緒に暮らしてるの?とか。 まあ、いろいろあったの。 私にも、男の子にも、ヨーロッパの彼にも・・・ to be continued... |
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